【富江 アンリミテッド】
高校で写真部に所属する飯塚月子(荒井萌)は学校からの帰り道、建設中の建物から鉄骨が落下してきた事故で姉の富江(仲村みう)を亡くす。
それから1年余りが過ぎ、富江が死ぬ瞬間の悪夢にうなされ続けながらも、月子はようやく普通の生活を取り戻しつつあった。
そんなある日、自分の目の前で死んだはずの富江が目の前に現れ……。
シネマトゥデイより。
伊藤潤二の【富江】シリーズの第8作。過去の映画化された【富江】とは印象が全然違います。
過去の【富江】シリーズは、菅野美穂にしろ、宝生舞にしろ、酒井美紀にしろ、あびる優にしろ、あくまで『妖艶』というイメージでした。
しかし、本作の『富江』は怪しいだけで、艶やかではありません。
決して、『富江』役の仲村みうが色っぽくないというわけではなく、メイクや映像のせいで気持ち悪いとか、怖いイメージが強過ぎるという印象。
これは『富江』そのものに限らず、映像演出全般に言えて、過去の【富江】シリーズはどちらかと言えば、『富江』の悲しい性みたいなものが強調されていましたが、本作はもうただの怪物です。
謎の存在というか、
SFに出てくるクリーチャー
みたいな存在になっています。
特に本作はヒロインと『富江』が姉妹だったこともあり、『富江』の両親が判明しているにも関わらず、謎の存在になっています。
別に両親はただの人間なんですけどね。帰ってきたお姉ちゃんは別人だったというわけではなく、死ぬ前から『富江』だったみたいでしたが。
他人の身体を乗っ取って、本人の首がなくなった後、ふなっしーばりの荒ぶり方を見せる辺りはちょっとやり過ぎ感あって、笑うところか悩みますが、現実であんなのに追いかけられたら、さすがに逃げ惑います。
クライマックスの『数珠つなぎ富江』と呼ばれる『ムカデ富江』が出てくる辺りからはもう何が何やらというカオスな状況に突入していて、正直向かっている方向がわかりません。
男性たちの『富江』に対する惹き込まれ方も異常で、たまに正気に戻りますが、いつもの独占欲ではなく、崇拝に近くなってる気がするし。
また、この作品のヒロインは荒井萌で、『富江』は仲村みうにもかかわらず、脇役に過ぎず、本人の登場シーンも少ないAKB48の多田愛佳が推されているのはどうなのかと。
確かに存在感は多田の方が強かったんですが、なんとなくホラーに出るならホラーコメディ出た方がいいんじゃないの? っていう印象が強かったです。
ちなみにこのヒロイン役の荒井萌は、この作品より後ですが、大河ドラマ【八重の桜】に出させてもらえるくらいのキャリアを積んでたりします。
カオスな割に意外とまともなホラー映画【トワイライトシンドローム デッドゴーランド】でも主役を演じていたせいか、アイドルの下積みホラーのような演技ではなく、意外とリアルな演技で面白かったです。
過去の【富江】シリーズを踏襲したような作品が好みだと勧められませんが、単純に怖いホラーが好きな人たちには意外と勧められる作品だと思います。
オススメ度(10段階)……★★★★★★★★
(クリーチャーが特撮向けっぽいのは仕様として)
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