都市伝説としての口裂け女とは
日本で1979年頃に突然発生した都市伝説で、現実の社会問題にまで発展した珍しい存在。
後に韓国でも流行し、中国でも知られており、果てはアメリカでも映画化されるまでに。
容姿は基本的に高身長で赤い服、赤い帽子、赤いヒール、口には大きな白いマスク、手には武器を持っているパターンが一般的。
たまに白い服装や汚いかっこうというパターンもあるのですが、そちらはどちらかというとひきこさんと混同しているように思えます。
武器は長いハサミ、鎌、鉈、斧、メスと殺傷力の高いものが多く、人口の多い都会ではハサミやメスが多く、郊外は鎌や包丁のような大きめのものが多い傾向。
そして、「あたしきれい?」と尋ねた後、「きれい」と答えたら「これでも?」とマスクをとり、耳まで裂けた口を見せつけます。
逆にそれ以外の答だと武器で殺されるらしい。
ちなみに「きれい」と答えても、マスクをとった後に殺されるので、出会った時点で詰んでいます。
ただし、「ふつう」と答えると助かるパターンはありました。
三のつく地名に現れるという説が多いですが、出没地域に関してはバリエーションが多過ぎて、どこにでも現れると思っていいでしょう。
ただ、岐阜県での目撃例や噂が多いのがおもしろいところで、噂の始まりと言われているせいもありますが、1754年の農民一揆に殺された人々の怨念までさかのぼる原因になっています。
個人的にはこういう伝承やしきたりは社会のルールのために作られることが多いことから、お金のかかる塾通いを諦めさせるために考えられたものが予想以上に広がったなんじゃないかと。
他にもこどもが夜遊びしないようにとか。
CIAが噂の広がり方を検証するために流したなんていうのもあり、同様の噂として度々流された志村けん死亡説も情報拡散実験とささやかれてました。
現在でも語られているこの口裂け女ですが、日本での流行自体は1年で終わっており、夏休みに入ったことでこどもたちの情報交換がされなくなったためと言われています。
ですが、これはおかしな話で現在とは違い、当時のこどもは夏休みも友達と遊んでいるので、情報交換は途絶えないんですよね。
単純に現実の事件が少なく、パニックが沈静化していったために語られなくなっただけだと思います。
少なくというのは、口裂け女のかっこうをして、包丁を持ってうろついた女性が逮捕される事例はありました。
弱点は地域差が激しく、整髪料のポマードはほぼ共通で、ポマードと3回唱えると逃げるというのが一般的。
ただ、次に多いべっこうですが、櫛等のべっ甲とべっこう飴に分かれます。
前者は理由が不明ですが苦手であり、後者はさらにべっこう飴が好物なので逃げられるというパターンと、嫌いなので投げつけるとひるむといったパターンにわかれるようです。
他にはニンニク、犬、ハゲが弱点であるというバリエーションがあり、ニンニクはにおい、犬は単純に苦手なんでしょうが、ポマードのことを考えるとハゲはちょっと謎。
ポマードが苦手な理由は整形手術を失敗した医師がポマードまみれだったという理由ですからね。
誕生の由来もだいたい3種類で、精神病を患った女性が病院や座敷牢から逃げ出したパターン、整形手術に失敗して病んだパターン、嫉妬や同情パターン。
やたらと3という数字が出てくる都市伝説ですが、バリエーションで3姉妹というのもあります。
ひとりが口裂け女で、姉妹が口を自分で裂いたり、メイクで口が裂けているように見せているパターンや、嫉妬で口を裂かれたり。
かわいそうなパターンだと、長女が整形に失敗、次女が交通事故で口が裂け、末娘が姉ふたりに口を裂かれるなんてパターンも。
交通事故で口が裂けるパターンも意外と多いんですが、交通事故で口だけ裂けるってどういう状況なんでしょうね。
逆に被害者がかわいそうなのが韓国に多いパターンで3姉妹の誰がきれいかを尋ねてきて、選ばなかったふたりに殺されるというどうしようもない展開もあります。
バリエーションが多いため、荒唐無稽なようで、あってもおかしくないのかもという絶妙な組み合わせになっていたりと、いかにも都市伝説として扱いやすいのが口裂け女かもしれません。
映画版口裂け女
口裂け女をテーマにした映画。
都市伝説の単一の存在をモチーフにしたものとしては、もっとも多いと思われます。
単純に恐怖の対象としてのものから、口裂け女誕生を描いたもの、一時期の流行りで一気に作られたVSものまで、さまざまな作品が作られました。
マンガ版口裂け女
口裂け女をテーマにした漫画。
映画作品と違い、都市伝説のキャラクターのひとりとして描かれる作品が多く、何故か可愛いキャラクターとして描かれる作品も少なくありません。