【富夫】
富夫は恋人まどかと占いの館を訪れる。そこで出会った美しい年上の女性に魅せられ、誘導されるがままに関係を結ぶ。
しかし、女の本当の目的は富夫の首をコレクションすることであった。
公式より。
普通の伊藤潤二ファンや、ホラー映画ファンなら、【富江】の男版を想像して、イケメンの化物が女性を魅了する話と思うと思います。
しかし、残念ながらそうではありません。
『魔の断片』というコミックスに収録されている『富夫・赤いハイネック』というストーリーを再構成して、伊藤潤二本人が監督した作品です。
漫画とは富夫の設定が変わっていて、女癖が悪く、堕胎をさせてないので、どちらかというと、女占い師が富夫の美しい顔が欲しくなったのが元凶。
富夫は女占い師の魔術か何かで魅了されていただけで、否があるようには思えません。
もっとも、映画のジャケットを見れば、富夫が被害者なのはわかるので、
【富江】の男版ではない
とわかるんですけどね。
さすがにコミックスのように、ムンクの『叫び』をパロディ化は出来なかったようですが。
ストーリーは、そんな富夫が木口亜矢演じる女占い師の生首コレクションに加えられそうになり、逃げだしたものの、すでに魔術によって首が切断されていて、必死に両手で頭を支えているという状況。
しかし、町医者ではふざけてると怒られ、実際に検査をしてズレているように見えるのに、医者のひとりに否定されてしまいます。
もうひとりの医者はもしかしてと思い始めるんですが、否定する医者が頑固で、血反吐を吐いても仕込みだと言い張る始末。普段の診断でもこんな対応だったら、クレームだらけになりそうです。
もっとも、この病院で一番の強者は受付もしている看護婦で、信じてもらえず困っている富夫のズボンから金を抜き、お釣りを戻すという荒業を繰り出します。
結局、信じてもらえず、何の治療も受けられなかった富夫は占い師のもとへと向かいますが、そこには他人がいるだけ。
出てきた男の言動が怪しいのでトラブルに発生するのかと思いましたが、そんな事もなく、ちょっと拍子抜け。
どうすることも出来ず、彼女に助けを求めるんですが、そこに女占い師が現われ、彼女とのバトルに発展という流れがちょっと面白い。
すごいくだらない結末を迎えるんですが、短編を60分の映画にしてしまうとしょうがないのかもしれません。
結構、富夫が問題なく移動してしまうので、焦りとか緊張感がなく、ホラー要素よりシュールさだけが突出してしまっているし。
やっぱり伊藤潤二は漫画に専念した方が良い作品を作れるんじゃないですかね?
オススメ度(10段階)……★
(ちなみに女占い師役の木口亜矢。女性なのにベストフンドシストです。)
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