アヤ(中条あやみ)は山間部の町にある、ミッション系女子高校の学生寮で生活していた。
ある日、彼女はまるで自分の死を予告するような鮮やかなビジョンを見て以来、部屋に引きこもるようになる。
それと同時にあちこちで少女の幽霊が現れるようになり、目撃者たちが次々と姿を消す中、寮住まいのミチ(森川葵)も、自分の目前で親友を見失い……。
シネマトゥデイより。
ホラーアクションアドベンチャーゲーム【零】の世界観を映画化。
実際には大塚英志がノベライズした作品の映画化のようなので、大元であるゲームのファンには微妙かも。
特に個人的な印象ですが、大塚英志の作品は、自分のものにしろ、原作にしろ、話自体は面白いんですが、広げた風呂敷が回収されないまま、作品自体が終わってしまうという印象。
終わらないにしても、どうなったのかわからないとか。必ずしも作品が未完なのは、大塚英志のせいではないんですけどね。
そして、いわゆるスターシステムが好きなのか、他の作品のキャラクターが出てくるのもファン以外には微妙なんじゃないかなと思います。
さて、そんな【零】の映画ですが、全然ゲームとは似ても似つかない内容。なんとなく世界観として共有していて、サイドストーリーのような展開。
学園のアイドルのようなアヤという生徒が引きこもり、それ以来、アヤそっくりの少女の幻覚を見る生徒たちが現われ始める。
やがて、その生徒たちが忽然と姿を消すという状況に陥るんですが、どうやらそれには学園に伝わる恋のおまじないが関連している様子。
真夜中の0時、今日でも明日でもない時間に、好きな相手の写真にキスをすると思いが叶うというものなんですが、過去には悲しい出来事もあったらしい。
昔は現代と違って、同性同士の恋愛は認められておらず、この学校でも親に無理やり引き離されることは普通にあったんだとか。
その中の一組の片方が死にきれず、もう片方の霊に悩まされたという噂まであった様子。
姿を消した同級生たちは死体となって現われるんですが、ひとりだけ死なずに発見されます。
発見した男女は、【零】シリーズのファンには意味がわからないでしょうが、大塚英志原作のコミック【黒鷺死体宅配便】の唐津と槙野です。
大塚ファンならニヤリとするところでしょうが、【零】ファンだと何で自分の作品のキャラ出したと疑問に思うところです。
唐津のイタコの能力で、消えた少女たちがどうなっているのかを聞き、話が進むことにはなるんですが、そうじゃない感が強いんですよね。
ゲーム中で武器となる『射影機』も中越典子が演じている濃いキャラクター『メリーさん』の息子が使っていて、単なる霊が映るカメラとして登場するだけ。
まあ、あってもなくてもいい雰囲気作りな感じですね。
そんなわけで雰囲気自体はなんとなく怖い感じではあるし、アヤそっくりの幽霊はどこか不安な気持ちになるので、それなりにホラー映画らしくはなってます。
うさん臭い人物や、明らかに過去にあった何かを知っている人物、ラストまでわからない真相等、ジャパニーズホラーとしては良作だと思います。
ただ、それ以上に
百合百合しい雰囲気が圧倒
しているため、怖さよりもそちらの方が印象強く残るのが残念です。
【リング】みたいに時間になるとショッキングなものを見て死ぬというわけではないし、ゴアムービーでもないので、ホラー系少女マンガくらいの怖さなら大丈夫という人たちでも安心して見れると思います。
実際、ジャンルとしてはホラーというよりサスペンスに近い気がするし。
オススメ度(10段階)……★★★★★★★
(死体のある場所を考えたら、とてもじゃないけど、その学校にはいられないと思う。)
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