【クレイジーズ(2010)】
細菌兵器を積んだ軍用機が小さな町に墜落、ウイルスが漏れ出し、感染した住人たちが凶暴化し町はパニックに陥る。
保安官デヴィッド(ティモシー・オリファント)は同僚らと共に脱出しようとするが、軍は事態を秘密裏に処理すべく町全体を封鎖。
元は友人なのに襲ってくる感染者、町ごと焼却しようとする軍隊から、彼らは何とかして逃げようとするが……。
シネマトゥデイより。
ジョージ・A・ロメロの【クレイジーズ】のリメイク。
ジョージ・A・ロメロと聞くとどうしてもゾンビもののイメージですが、ウイルス系ホラー。
とはいえ、ウイルス系ホラーとしても十指に入るくらいの良作。
たまにゾンビだとか、ゾンビじゃないと書いているのは提灯ライターだと言われている本作ですが、あえて言います。
ゾンビじゃない。
いや、別に他の人がゾンビと呼ぶのをおかしいという気はありません。
ただ、なんでもかんでもゾンビという最近の風潮もどうかと思うんですよね。
~オブ・ザ・デッドとついたらゾンビっていうのもそうですが。別に死の~と言ってるだけで、ゾンビだと言ってるわけじゃないんだし。
この作品も、感染したひとたちが凶暴化しているだけで、いわゆるリビングデッドではないんですよね。
個人的に最低限ゾンビと呼ぶための定義として、『死人である』、『人を喰う』の2点は最低限クリアして欲しいと思います。
別にそれが画面で行われる必要はありません。
原因が放射能だろうと、何かの術でも、ウイルスでも構わないんです。
知能があっても、走っても別に構いません。
リアルな話をすると、時間の経ったゾンビは知能が落ちていくべきだとは思いますが。
もっとも、この作品の場合、タイトル通りクレイジーなのは、凶暴化した人々だけではなく、軍の対応も充分にクレイジー。
細菌兵器を積んだ貨物機が墜落したのが判明した段階で、封じ込め作戦を発動。
多くのウイルスパニック映画では、封じ込めとは言っても、隔離失敗からの殲滅という流れが定番。
なんと、この映画の場合、いきなり殲滅に入ります。
隔離地域から出ようとしたら殺すのではなく、町に侵攻して感染の確認もせずに銃殺したり、焼いたりします。
その姿はゾンビ映画でゾンビを嬉々として倒しては、山積みにして焼いている連中のようです。
この映画を観る限りでは反体制寄りの作品に感じるんですが、ジョージ・A・ロメロのオリジナルはもっと反体制だそうです。
元々、ジョージ・A・ロメロの作品は、ゾンビ映画にしても、社会風刺というか、説教じみた部分が垣間見えるので、ロメロファンにしたら甘いと思うのかもしれません。
日本だと、国家や軍がこういう作戦を隠ぺいするような作品は嘘くさく感じますが、アメリカだとここまでの規模はともかく、一軒家とかなら本当にあるのかもと思ってしまうから不思議です。
ゾンビ映画としては勧めませんが、陰謀をベースにしたウイルス系ホラーとしてはおすすめな作品でした。
オススメ度(10段階)……★★★★★★★
(こういう作戦に参加出来る兵士自体クレイジーだと思う)
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