【28日後……】
怒りを抑制する薬を開発中のとある霊長類研究所。
ある夜、精神を冒し即効性の怒りを発するウィルスに感染している実験用チンパンジーが、侵入した動物愛護活動家たちによって解放されてしまう。
その直後、活動家の一人がチンパンジーに噛まれて豹変、仲間に襲い掛かる…。
28日後。
交通事故で昏睡状態に陥っていたバイク・メッセンジャーのジムは、ロンドン市内の病院の集中治療室で意識を取り戻す。
ベッドから起き廊下をさまようジムだったが、院内にはまったく人の気配がなかった。
人の影を求めて街へ飛び出したジムは、そこで驚くべき光景を目にする…。
シネマトゥデイより。
ウイルス系ホラーではトップクラスの良作。
ただし、シリーズが面白いのではなく、この【28日後……】が面白いという意味。
動物愛護をうたっては、犯罪行為を繰り返すどこぞの団体のような3人が研究所に侵入。
研究員が説明しているのに、理解できずにゲージを解放。
このシーン凄いです。
力ずくで説明を求めておきながら、必死に説明をしている相手の話をきかず、なんなんだと喚き散らす。
いや、まずは聞けよと。
結局、この3バカのせいでロンドンが壊滅、ニューヨーク、パリにも飛び火するという始末。
どんな事でも
人の話を聞かないエセ正義は大迷惑
という良い例です。
主人公のジムはフルチンで目を覚まし、局部を映し出されながらの登場なんですが、病院の誰もいなさが凄いです。
生きた人がいないどころか、死体すらありません。
もっと言えば、ストレッチャーが放置されていたり、大騒ぎした後はありますが、血痕ひとつありません。
もしかしたら、この病院、パニックになっただけで襲われてないのかもしれません。
街に出てもやっぱりそうで、パニックの跡はあるものの、教会で感染者に会うまでは、むしろ誰もいないずっと俺のターン状態が怖いです。
展開的にはロメロのゾンビ映画に近いんですが、ロメロの映画は説教臭さを感じるくらい社会風刺をしつつ、じっくり描いていく印象受けるのに対し、【28日後……】は起こりそうなことをスピーディーに描いていく印象。
必要なことを描いたら、次の展開に進む感じなんですが、その必要なことが結構深く、セリフも印象深い。
特にハンナ父娘と一緒に行動し始めてからの言動を受けて、セリーナがジムに語る希望の話は本当に切ない感じでした。
全体的なテーマとして、希望と絶望、絆を描いていると感じさせるのですが、希望を与えられては絶望するの繰り返しの中、ハンナ父娘は絶望の中の幸せだと感じさせるため、パンドラの箱に残った希望のよう。
ただし、絆については血縁という意味ではなく、強いつながりとして描かれていて、ジムもセリーナも家族を失っており、ジムに至っては自分へのメッセージを残し、自殺している光景を目の当たりにしています。
そんな状況でジム、セリーナ、ハンナ父娘はほんの数日の間でも、希望と絶望をともにした結果、密度の濃いつながりを感じたいたように感じます。
特にセリーナは、ジムと出会った直後、ともに行動していたマークの感染を確認すると、容赦なく殺します。それくらい冷徹になっていた彼女も、気が付けばジムに心を開くようになっていたりと、変化が見受けられるようになっていました。
良い作品だと思うのですが、ネットでの評価は両極端。
もっとも、酷評している人はゾンビ至上主義的にゾンビ好きか、映画の上辺だけ観てる人が多い印象。
もちろん、前述の部分含め、ツッコミどころ満載な作品なので、そういうのを我慢できない人には酷評すべき作品ですが。
もちろん、逆にただ怖いからいいという評価の人も多くいるので、その辺は自分がどちら寄りかで判断していただくしかないと思います。
ただ、せめてメディア版のラストが『HELP』ではなく、『HELLO』なのかは考えていただきたい映画。
なぜ『HELLO』とか言ってる人は酷評しちゃダメだと思う。
オススメ度(10段階)……★★★★★★★★★
(確かにダメな部分も少なくないですが、それを考慮しても良作だと思います。)
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