【ゾンビ・リミット】
幸せなカップルのケイトとアレックス。
ケイトはゾンビウイルスに感染した患者“リターンド”をサポートする病院で働いている。
リターンドの保護に反対する人々も多く、過激なグループは暴動を起こしていた。
そんな中「ゾンビウイルスを抑制するワクチンの残数はあと僅か」と噂が出回り、ケイトとアレックスは、大量のワクチンを抱えて逃亡することを決意する。
「Oricon」データベースより。
ゾンビというタイトルがついているのにアマゾンプライムではアクションにカテゴライズされていて、ホラーじゃないの? と見た作品。
ホラーじゃないどころか、アクションでもありませんでした。
このサイトでは一応、ホラードラマとしてあります。
ゾンビらしいものはオープニングにちょっと出てくるくらいで、あとはほとんど出てきません。
オープニングは主人公となるケイトの母親が父親に襲われ、幼いケイトが父親を撃ち殺すシーン。
それから20年の時が経ち、ケイトは医師となって、リターンドと呼ばれる感染者たちの治療に当たっています。
しかし、世間はリターンドへの恐怖から良くは思われておらず、差別や、過激な抗議活動が行われていました。
なにしろ、ワクチンを打つことで発症を抑えられるとは言っても、打たなければ発症する時限爆弾みたいなものです。
その上、ワクチンは感染した人間の髄液からしか作れないため、治療により死亡者が出ないことで、当然需要が供給を上回る状況。
政府も合成たんぱく質を開発しようとしていますが、失敗続きでうまくいかない様子。
実はケイトのパートナーであるアレックスはリターンドで、楽器を買おうとして入った店で、発作を起こしている男性を助けようとして感染しています。
ワクチンが足りなくなっていき、アレックスの友人ジェイコブ夫妻にアレックスがリターンドであることを告白すると、ジェイコブは力になると約束。
そんな中、ケイトの働く病院に過激派が襲撃し、治療中の患者たちを射殺していきます。
ケイトの同僚で、ワクチンを横流ししてもらっているイヴに、患者のリストも奪われたらしいことを知らされ、帰宅するとアレックスが襲われている始末。
ワクチンが足りなくなってきたことで、政府もリターンドの隔離を画策。
出頭しなければ逮捕という強硬手段にまで出始めたため、ケイトとアレックスはワクチンを持って逃亡するという展開。
ゾンビが蔓延する世界ではなく、
感染者が迫害されて、追い詰められていく
という世界観。
そのため、ゾンビである必要はなかったので、ホラーではないんですかね。
ゾンビが蔓延した世界を描いた【ゾンビの中心で愛を叫ぶ】とはまた違った答という印象のヒューマンドラマな印象。
ただ、本作は追い詰められた人間の言動としてリアルに感じます。
子供が退院するけど、ワクチンを打ち続けなければいけないことを不満に思う母親に、足りるから問題ないと言いつつ、自分はパートナーのために横流ししてもらってるとか。
治療にかかる費用が高額だから、隔離する方がいいんじゃないかと提案する人物とか。
愛する者のために裏切ったり、略奪したり。
恐ろしいと思うのが、病院や家にまで襲いにくる過激派で、もはや疑わしきは殺せの精神としか思えません。
全体的なストーリーとしては、ケイトとアレックスの愛のあるヒューマンドラマなんですが、周囲の環境があまりにも殺伐とし過ぎていて、人間不信な気分になりそう。
オチもそうなるよなあっていう感じで、感動とは程遠い内容でした。
ゾンビはほとんど出てきませんが、ゾンビのいる世界を描いた作品と考えると、変わった作品なので面白いと思います。
オススメ度(10段階)……★★★★★★
(院長がすごく良い人物なのが救い。)
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