高校生のケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)は、クラスメートのクレア(ヘイリー・ルー・リチャードソン)の誕生パーティーに招待される。
帰りは、彼女とクレアの親友マルシア(ジェシカ・スーラ)をクレアが車で送ってくれるが、途中で見ず知らずの男性(ジェームズ・マカヴォイ)が車に乗り込んでくる。
彼に拉致された三人は、密室で目を覚まし……。
シネマトゥデイより。
ストーリーのオチとかではありませんが、作品のネタバレあります。注意してください。
予告と事前情報を見た限りでは、23の人格を持った誘拐犯のもとから女子高生3人が脱出しようとする話という印象。
誘拐犯の多数ある人格と駆け引きするような頭脳戦で脱出する展開だと思ってました。
結論から書くと、まったく違います。
大きい流れとしては誘拐犯に閉じ込められた空間から逃げだそうとすることに間違いはありません。
ただ、23の人格があるにはあるんですが、女子高生たちの前に現われるのは基本的に3人だけ。
全編通しても、現われるのは
主人格を合わせて8人くらい
だったはず。名前は全員分決まってましたけど。
現われる3人も犯人A、犯人B、犯人と協力している子供という感じなので、ほとんど駆け引きの余地がありません。
加えて、誘拐された側も親友同士ではなく、クレアとマルシアは仲が良いですが、ケイシーは周囲からの評価を気にしたクレアが仕方なく呼ぶくらいの仲。
ある事情からトラブルメイカーとなっているケイシーは、どちらかと言えば関わりたくないタイプ。
脱出に関しても、クレアは積極的、マルシアは従属的、ケイシーにいたっては諦めがちで生きることが最優先っぽい。
そんな状況な上、犯人の目的もよくわからないため、話が進むはずもなく、ケイシーの身の上が観客に提示されていくくらい。
一方で犯人の別の顔である患者としてやりとりするフレッチャーのパートはよく進みます。
フレッチャーはおばさんの精神科医のようですが、鑑識眼がすばらしく、勘が鋭い。そして、ここが大事なんですが、どこか盲目。
見事なまでに観客に情報提示しつつ、ストーリーは完結させません。
むしろ、このおばさんの方が女子高生たちよりも頭脳戦を繰り広げています。
誘拐事件とはまったく別の視点から、犯人の目的を究明していき、ケイシーたちのストーリーと合流していく展開。
ジェームズ・マカヴォイの演技もみどころではあるんですが、さすがに23とアピールされた後では物足りない。
予告編を見て、ギリギリの駆け引きを期待していくと、かなりの肩透かしだし。
ネタバレというのは微妙だと思いますが、ラストに【アンブレイカブル】の主人公ダンが登場して、【アンブレイカブル】の犯人の名をつぶやき、実はこの作品が【アンブレイカブル】の15年後の世界だとわかります。
その上で、次回作では【アンブレイカブル】と、この【スプリット】が融合すると発表されていました。
ちなみに、【アンブレイカブル】には15年前の犯人の姿が映っています。
そういう事情もあって、この作品自体が次回作の犯人を紹介するための映画という評価が下されているようです。
個人的にはいつものシャマラン映画に比べたらわかりやすい反面、ダラダラしたB級ホラーという印象でした。
実在したビリー・ミリガンという24の人格を持った犯罪者のことを調べてから見れば、多少は楽しめるかもしれません。
それにしても、よく解離性同一性障害の団体とかからのクレームで上映中止とかにならなかったなというのが本音です。
いかにもペドフィリアっぽい人物がやっぱりペドフィリアだったときは苦笑いでしたが。
オススメ度(10段階)……★★★★★★
(シャマラン映画の中では駄作だけど、飽きはしなかったので、ネットの評判ほど酷くないと思います。)
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