1年前に兄が他界したサラ(ダニエル・ヤドリン)と友達のレイチェル(ヤエル・グロブグラス)は、ニューヨークからイスラエルへ旅行する。
サラは飛行機の中で顔見知りになった人類学者のケヴィン(ヨン・トゥマルキン)に、エルサレムでは何度も死者が復活したと聞かされる。
ところがその後、ケヴィンは病院に監禁されてしまう。
その翌日の贖罪(しょくざい)の日、街中で爆発が起こり、サラたちは旧市街に隔離され……。
シネマトゥデイより。
ちょっと変わったPOV演出のパニックホラー。
旅行に行ったエルサレムで、飛行機で出会った青年ケヴィンや、現地の青年オマーとハメを外すサラとレイチェル。
勢いでケヴィンと一夜をともにするサラでしたが、目覚めるとケヴィンの様子がおかしく、何か音が聴こえ、息苦しいと訴える。
『贖罪の日』の前日、ケヴィンが部屋に飛び込んできて、エルサレムから逃げ出すように叫び出したため、隔離施設へと連れていかれてしまうのだった。
『贖罪の日』当日、爆撃テロが起きたという報道があり、酒場で知り合ったふたりの兵士が飛び込んでくるのだが、本部にも連絡がつかず、門が閉められて街から出られなくなることがわかる。
サラ、レイチェル、オマー、オマーの父、ふたりの軍人とともに門を目指すという展開。
もちろん、隔離されてしまったケヴィンを助ける流れになるんですけどね。
その道中、ゾンビみたいな悪魔憑きみたいなのや、空飛ぶコウモリ男みたいな悪魔なのか、堕天使なのかわからないのに遭遇したり、巨人を見かけたりするわけです。
もっとも、巨人にいたっては見かけたと書いている通り、街中とはいえ、遠くを歩いているだけで主人公たちには影響がありません。
ただ、航空兵器に攻撃されているだけで、必要だったかさえも謎です。街を破壊するでもないし。
悪魔憑きたちに関しては、ゾンビみたいで怖いんですが、なにしろ数が少ない。襲われた人間がすぐに変貌して、次の被害者を産むような描写もないため、爆発的に数が増えそうな気もしません。
一応、怪我をすれば感染するんですが、ゆっくりなので脅威になる前に殺したり、自殺できたりしちゃえるし。
実際問題、
最大の敵は悪魔憑きではなく、ヒロインのサラ。
わがまま言うは、足手まといだは、余計なことするわでロクなことしません。
通常なら、ふたりいる軍人の片方が偉そうなので、その男が観ている人間を苛つかせるポジションなんでしょうが、はるかに上回っています。
足手まといなのは、変わったと書いているPOV演出のせいもあるとは思うんですけどね。
なにしろ、この作品のPOV演出はカメラではなく、旅行前に父親にもらったスマートグラス。顔認識ソフトまで入ってます。
このスマートグラスのおかげで、登場人物の名前が表示されたり、クライマックスに重要な役割を果たすんですよね。
個人的にはうっとおしい印象でしたけど。
ただ、同一人物がかけているという状況になるため、ヒロインはほとんど映らないし、他の人物の状況を見せるには後ろにいるしかありません。
もしこれが先頭を走っていたら、同行者がどうなってるのか一切不明になっちゃいますから。
そういう推測を踏まえても、ヒロインの面倒くささに辟易とすることでしょう。
そして、クライマックス。あんまりにも唐突過ぎる展開というか、登場人物に困惑していると、そのまま消化不良な感じで終わります。
ユダヤ教の知識か、エルサレムの知識が多少ないとわけがわからないし、展開は化け物がいる地域からの脱出という定番ストーリーなのにつまらない。
スマートグラスによるPOVと、顔認証ソフトによる演出くらいしか見どころがないので、映像関係に興味のある人にしかおすすめできません。
ホラーアクションゲームのPVだったら、ありだったかも。
オススメ度(10段階)……★★★
(つまらないけど、不思議とゴミ箱レベルとは思わなかった。)
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