【この子の七つのお祝いに】

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ルポライターの母田耕一は、磯部大蔵大臣の私設秘書である秦一毅の身辺を探っていた。

だがその矢先、秦の家で働いていたお手伝いが殺されてしまう。

手型占いをしているという秦の内妻の青蛾を追う母田は、後輩の須藤に連れて行かれたバーのママゆき子と知り合うが、そのあと何者かに殺害されてしまった。

須藤は母田の仕事を引き継ぎ調査を進めるが、青蛾も変わり果てた姿で発見される。

やがて須藤は、ゆき子から驚くべき過去を知らされるのだった。

allcinema ONLINEより。

もう30年以上前の作品なので、数少ない角川と松竹製作なご様子。普段は東映か東宝だったと思うんですけどね。

Wikiを見ると、本作品と【蒲田行進曲】、【REX】くらいしかないですし。

ちなみにミステリーなんですが、Wikiを見るとラストのオチまで書かれてしまっているので、ネタバレが嫌な人はチェックしないことをおすすめします。

もっとも、前述の引用したあらすじもネタバレしてますが、本当のネタバレをすると、映画版はあらすじ通りではありませんでした。

主人公自体は須藤で、ある殺人事件をきっかけに母田が青蛾という占い師を追っているのをしり、行動をともにします。

しかし、青蛾の正体をつかんだ母田が何者かに殺されてしまい、須藤が記事を引き継ぐことに。

そして、母田の手帳をもとに取材を続ける須藤も衝撃的な事実を知ることになるという展開。

衝撃的とは言っても、もう30年前なので、後発の作品で何度も使われてきたトリックではあるので、それを踏まえないとベタベタなオチです。

緻密な殺人トリックがあるわけでもなければ、真犯人もあからさまなので、ミスリードだったら逆にすごいレベル。

でも、この映画のすごいところは、そんなミステリーパートではなく、犯人の母親を演じている

岸田今日子の怪演振り。

完全に頭がおかしいです。いや、実際におかしいんですけど。

娘に自分たちを置いて逃げて、貧しい思いをさせている悪い父親に復讐するように言い続け、最終的には自殺するという人物。

ただ、着物を売って娘にバナナを買ってくるんですが、このシーンは若い人たちには意味不明な気がします。

現代の感覚だと、売るものがないので古着を売って、安いバナナを買うくらい貧しいという認識でしょう。

戦中戦後は着物を売るのは案外普通なことなので、比較的わかりやすく変換すると、貴金属みたいなものですね。

バナナについては現代で200円程度ですが、作品で描かれているシーンだと300円くらい。なんだ、変わらないじゃんと思うかもしれませんが、物価が違うので、3000円くらいの価値のはず。なかなかのぜいたく品です。

誤解のないように補足すると、犯人が子供の頃のシーンなので、須藤が調査してる時代からも数十年前です。

貧しいながらもぜいたく品を食べさせてくれる母親が、真顔で大人になったら父親を見つけて殺すように迫ってくるという激しさ。

しかも、寝ている間に手首を切って自殺。手首切っているのになぜか全身血まみれなんですけどね。

他にもちょくちょく挿入される岸田今日子の怪演シーンはサイコホラー的にみどころです。

サスペンス映画映画としてリメイクしたら面白くはなりそうですが、ここまでの雰囲気は出せないでしょうね。

オススメ度(10段階)……★★★★★★★
(予告編のシーンがないのも、この時代の特徴かも。)

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