【死霊のえじき】の正当な続編と言われている作品なんですが、どっちかというと【デイ・オブ・ザ・デッド】の続編なんじゃないかと思います。
「え? 一緒でしょ?」と思われる気もしますが、ノリというか、雰囲気に【死霊のえじき】のようなシリアスさが感じられないし、ロメロはノータッチです。
また、正当な続編にしては、状況設定にも疑問符がつくレベルなので、別に前作を未見でもどうでもいいです。ちなみに死霊のえじき2という原作もありますが、それとも違いますのでご注意を。
ついでながら書いておくと、自分が前作と認識している【デイ・オブ・ザ・デッド】は劇場公開していた都合上か、DVDの発売順が逆になっています。
まあ、そんなロメロのにおいがしない不思議なゾンビ映画のあらすじ。
レイブンサイドにある精神病院の患者たちが、湖のほとりで水筒のような錆びついたボトルを拾う。患者のひとりアイザックは水筒を空けてはいけないと主張するが、仲間のひとりが好奇心から開けてしまう。
昔、レイブンサイドには研究施設があったのだが、人間の遺伝子を組み替えてしまうウイルスが発生し、軍部によって破壊、封鎖されていた。患者たちが開けてしまったボトルには、そのウイルスが入っていたのである。
ウイルスに感染した患者たちは、徐々に体調不良を訴え始め、嘔吐等を始めていた。彼らの遺伝子はすでに組み変わり始めており、食事も睡眠も必要としなくなっていたのである。
やがて、ハプニングで感染したひとりが銃で撃たれるが、何故か傷が消え、生きていることから疑問が芽生える。
その頃、治療を受けていた別の感染者が発症し、感染は病院内に爆発的なスピードで広がっていた……。
ロメロの原作に新たな設定を加えとかうたわれていますが、確かに斬新です。感染者にはランクがあるのですが、1次感染した人間は思考能力、言語能力が残ったまま、リビングデッド化します。その反面、2次感染者以降のリビングデッドは、ハイスピードで変貌し、共食いまでする勢いで、人間を襲うようになります。
多分、【死霊のえじき】に出てきたゾンビ『バブ』の特性だった思考能力をもっと明らかにしたかったのでしょうね。ただ、全部のリビングデッドに思考能力を持たせてしまうとわかりづらくなるため、1次感染のみにしたんでしょう。
もっとも、設定としては斬新ですが、思考能力を持つゾンビというのは、すでに【ランド・オブ・ザ・デッド】で描かれていますし、ウイルス感染タイプの作品だとザラになっているので、せいぜいが1次と2次以降の差別ぐらいしか目新しくありません。
また、出てくるリビングデッドたちですが、正直怖いとか気持ち悪いというよりも汚い印象。それでも昔のインディーズゾンビ映画よりはマシですが。
少しだけ珍しいと思う点がひとつ、【バタリアン】もそうだったので唯一ではないのですが、発症してリビングデッド化した1次感染者は基本的に悪意に染まるようです。かつての友人たちにリビングデッド化を促す辺り、人間の底意地の悪さを感じさせました。
ロメロゾンビとか、【死霊のえじき】と思って観ず、ただのインディーズゾンビものと思って観れば許容範囲かも。
オススメ度(10段階)……★★★
(正統な続編の正統はどこにかかるのかというところで評価がわかれるところ)
死霊のえじき 完全版
↑実はこのハピネット版が一番残虐シーンをカットしていないのです。他の版は残虐シーンカットだらけ。
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