人の世をさまよい、人間の心の闇を見つめてきたおろち(谷村美月)が家政婦として潜り込んだ門前家には、二人の美しい姉妹がいた。当家の女性は29歳を過ぎるころには突然、その美ぼうが崩れ、果ては化け物のように醜く死んでいくという。ある日、妹の理紗(中越典子)は死にゆく母親の口から、もう一つの門前家の秘密を打ち明けられる。
シネマトゥデイより。
楳図かずおのホラー作品【おろち】の『姉妹』と『血』を再構成した映画。主人公は谷村美月演じるおろちなんですが、人間観察が趣味なので、
基本的に何もしません。
傍観して手出しをしないというのが基本姿勢です。これは映画だからという話ではなく、キャラクター自体がそんな感じ。ただし、気まぐれに余計な事は結構します。
おかげでおろちとしてのセリフはほとんどなく、モノローグだらけ。精神感応なのか、佳子になってる間は結構喋るんですけどね。
漫画版ではそんなイメージなかったんですが、映画版だと楳図版【エコエコアザラク】のような印象。超能力や、映画では使いませんが、魔術とか使いますし。
ストーリーはある年齢になると、できものが出来始め、最終的に全身に広がるという家系に生まれた姉妹の話。おろちは女優の母親の代に、雨宿りのために屋敷を訪れ、興味を持った様子。
ただ、不老不死を維持するために100年毎に眠りが必要なんですが、アクシデントのせいで早まってしまう。目が覚めたら、おろちは佳子になっていて、女優の娘たちが屋敷の主になっていた。
どうやら20年近く経過していて、姉の一草(かずさ)の方は母親そっくりの女優として活動しているらしい。そんな中、佳子は妹の方の理紗に買い取られ、屋敷に住むことになります。
そこから先は美しい姉妹たちの美への執念と恐怖を描いているんですが、個人的に母親の葵と、成長した姉を演じている木村佳乃が、【相棒】の片山雛子役とオーバーラップするので元々怖い印象。
それが狂気に侵されていくので、さらに怖くなっていくんですよね。それに対しての妹役の中越典子。異常と思える程の献身振りに何かあるとしか思えず、時折見せる豹変振りも気持ちが悪い。
狂気を見せていない状態とはいえ、そんな姉妹と二股な感じの山本太郎演じる大西弘は凄いと思います。ただ、言動を見ている限りだと現実での悪評通りのクズなんですけどね。
楳図作品には時折、このような美への執着が激しい女性が登場するんですが、そのどれもがパラノイアレベル。維持するためにそこまでするかっていうのと、失う事への恐怖が半端ない。
女性なら美への執着はある程度あるとは思いますが、楳図かずおにとっての女性像ってどうなってるんだろうと気になって仕方ありません。
谷村美月がおろちらしくないとか、スタイルが良過ぎて、そっちが気になるとかいう評価が多くて苦笑いするしかないんですが、全体的に過去の評価は低過ぎます。
ホラー映画として扱われるので宣伝とか控えめでしたが、この映画はもっと評価されてもいい作品だと思います。
オススメ度(10段階)……★★★★★★★★
(ショッキングなシーンは1ヶ所だけで、あとはサイコホラーな怖さ)
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コメント
これは私も観ました。おろち の静かな演技が印象的で梅図らしさを良く表現。ほんと梅図の女性の美への執着は凄まじいですね。
楳図のキャラクターたちの美への執着ってどこか歪んでるんですよね。
ダイエットした結果、人食ったり、娘と脳みそ取り替えようとしたり。
まあ、彼自身の家の色彩感覚も凄まじいですが。
同感です!私もこれは結構好きでした!色使いも毒々しくて作風に合ってましたよね!
女の嫉妬ってどこまでもーな感じが怖かったですΣ(゚д゚lll)
色使いが監督が撮っているのに、楳図が好きな色になっていて、ちょっと笑いました。
普通の画面なのに、何故か赤や緑が見えるみたいな。
何となくオチは見えていたんですが、男は嫉妬でここまでやれないだろうなって
思いました。楳図って本当に女性を残酷に描きますよね。